ADASエーミングとは|中古車購入前に知るべき再調整

Smartmart編集部 2026-06-13 更新

エーミングはADASセンサーの「照準合わせ」。ガラス交換・足回り・事故修理の後は再調整が必須で、2024年10月からは車検(OBD検査)の合否にも関わります。工賃1〜5万円の目安と、「エーミング済みか」を見抜く中古車チェック法をまとめました。

エーミングとは何か──ADASの「目」の照準合わせ

エーミング(aiming)とは、衝突被害軽減ブレーキや車線維持支援などのADAS(先進運転支援システム)が使うカメラ・ミリ波レーダー・ソナーといったセンサーの取り付け角度や検知基準を、専用機器で正しく校正(キャリブレーション)する作業のことです。「照準合わせ」という言葉どおり、センサーがミリ単位・度単位でずれただけでも、数十メートル先では検知位置が大きくずれてしまいます。

ADASは「正しく取り付けられたセンサーが、正しい方向を向いている」ことを前提に設計されています。エーミングがずれたまま走行すると、次のような不具合につながるおそれがあります。

  • 衝突被害軽減ブレーキが本来より遅れて作動する、あるいは不要な場面で作動する
  • 車線維持支援が車線の中央を正しく捉えられない
  • 誤検知による警告の頻発や、システム自体の停止

見た目には何も変わらないのに安全機能の精度だけが落ちている──これがエーミング不良の怖さであり、中古車選びでエーミング履歴の確認が重要になる理由です。なお、ADASはあくまで運転者を支援する仕組みであり、運転の責任はドライバーにあります。

エーミングが必要になる場面──ガラス交換・足回り・事故修理

エーミングは「事故で壊れたときだけ」の作業ではありません。センサーの位置・角度・基準面に影響する作業を行ったら、原則として再エーミングが必要です。代表的な場面を整理します。

作業内容影響するセンサーエーミングの要否
フロントガラス交換フロントカメラ原則必要(カメラがガラス越しに前方を見ているため)
事故修理・バンパー脱着ミリ波レーダー・ソナー原則必要(レーダーはバンパー内・エンブレム裏などに装着)
足回り交換・車高変更カメラ・レーダー全般必要になる場合が多い(車両姿勢が変わるとセンサーの向きも変わる)
アライメント調整カメラ・レーダー全般車種により必要
センサー本体・ECUの交換該当センサー必要

中古車の文脈で特に重要なのは、「修復歴なし」でもフロントガラス交換歴があればエーミング対象だという点です。飛び石によるガラス交換はごくありふれた整備であり、そのときに正しくエーミングされたかどうかは、車両の外観や走行距離からは判断できません。

2024年10月から車検でも検査対象に──OBD検査の開始

エーミングを取り巻く制度は近年大きく変わりました。2024年10月1日から、継続検査(車検)でOBD検査(電子的な検査)が始まり、ADASなど電子制御装置の故障の有無が車検の合否に関わる検査項目になりました。対象は2021年10月以降の国産新型車(輸入車は2022年10月以降の新型車)から段階的に広がっていきます。

OBD検査では、車両の故障診断装置(OBD)から「特定DTC」と呼ばれる保安基準不適合のおそれを示す故障コードを読み取ります。エーミング未実施やセンサー異常で特定DTCが残っていれば、車検に通らないことになります。

中古車購入者にとっての意味

  • 対象年式のADAS搭載車は、エーミング不良が「車検で落ちる」具体的なリスクになった
  • 「修理はしたがエーミングは省略」という車両は、次回車検で追加費用が発生し得る
  • 逆に、整備記録でエーミング実施が確認できる車両は、制度面でも安心材料になる

つまりエーミングは「やったほうがよい作業」から「制度上も求められる作業」へと位置づけが変わっており、中古車の品質を見極めるうえで無視できないポイントになっています。

エーミングの費用相場──工賃1〜5万円が目安

エーミングの工賃は、車種・センサーの種類・作業方式(静的エーミング/走行を伴う動的エーミング)によって変わりますが、1箇所あたりおおむね1万〜5万円が目安です。カメラとレーダーの両方を校正する場合や、輸入車・高機能車では合計でさらに高くなることもあります。

  • フロントカメラのみ:1万〜3万円程度が目安
  • ミリ波レーダーのみ:1万〜3万円程度が目安
  • カメラ+レーダーの複合作業:3万〜5万円程度が目安

ここで中古車選びの計算が変わります。たとえばフロントガラス交換歴があるのにエーミング記録がない車両は、表示価格に「将来のエーミング費用+点検費用」を上乗せして比較するのが正確な値踏みです。数万円の価格差は、エーミング1回分で簡単に逆転します。

なお、エーミングには専用ターゲットやスキャンツール、水平の確保された作業スペースが必要で、どの工場でもできる作業ではありません。この「どこで整備できるか」という問題は、特定整備認証と中古車選びで詳しく解説しています。

中古車購入時のエーミング確認チェックリスト

「エーミング済みかどうか」は、ADAS搭載中古車の品質を分ける見えない決め手です。購入前に次の点を販売店に確認しましょう。

  1. フロントガラス交換歴の有無:交換歴がある場合、交換時にエーミングを実施したか、記録(作業伝票・整備記録簿)が残っているかを確認する
  2. 修復歴・板金歴とエーミングの対応関係:バンパー・フロント回りの修理歴がある場合、修理後にエーミングが行われたかを確認する
  3. 整備記録簿のエーミング記載:「エーミング」「キャリブレーション」「校正」などの記載を探す
  4. ADAS警告灯と作動確認:試乗時に警告灯が点灯していないか、車線認識表示などが正常に出るかを確認する
  5. 納車整備にエーミングが含まれるか:含まれない場合、誰がどこで実施するのか、費用は誰が負担するのかを事前に確定させる

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よくある質問

A
ほぼ同じ意味で使われます。エーミングは日本の整備業界でADASセンサーの校正作業を指す言葉として定着しており、英語のキャリブレーション(calibration)に相当します。フロントカメラやミリ波レーダーの角度・検知基準を専用機器で合わせ込む作業全般を指します。
A
原則として必要です。衝突被害軽減ブレーキなどに使うフロントカメラはガラス越しに前方を撮影しているため、ガラスを交換するとカメラの見え方が変わり、再校正なしでは検知精度を保証できません。中古車でガラス交換歴がある場合は、交換時のエーミング記録があるかを必ず確認しましょう。
A
車種やセンサーの種類によりますが、1箇所あたり1万〜5万円程度が目安です。カメラとレーダーの両方を校正する複合作業では合計額がさらに大きくなる場合があります。中古車を比較する際は、エーミング記録のない車両にこの費用を上乗せして値踏みするのが現実的です。
A
2024年10月1日から始まったOBD検査の対象車(2021年10月以降の国産新型車など)では、エーミング未実施やセンサー異常により保安基準不適合を示す故障コード(特定DTC)が残っていると、車検に通らない可能性があります。対象外の年式でも、安全機能の精度を保つためエーミングの実施が推奨されます。
A
整備記録簿や作業伝票に「エーミング」「キャリブレーション」などの記載があるかを確認するのが基本です。フロントガラス交換歴や修理歴があるのに対応するエーミング記録がない場合は、販売店に実施の有無を確認し、不明なら納車前のエーミング実施を交渉する材料になります。

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