特定整備認証と中古車選び|ADAS搭載車を整備できる工場・できない工場

Smartmart編集部 2026-06-13 更新

ADAS搭載車のカメラ・レーダー整備やエーミングは、電子制御装置整備の認証を受けた工場でなければ事業として行えません。認証取得率は59.8%(2024年2月末時点)──約4割の工場はADASに触れないのが現実です。「どこで買うか」が「どこで直せるか」を決める時代の中古車選びを解説します。

特定整備制度とは──「分解整備」から「特定整備」へ

2020年4月、道路運送車両法の改正により、従来の「分解整備」が「特定整備」に拡大されました。エンジンやブレーキの分解を伴う従来の整備に加えて、「電子制御装置整備」──すなわちADAS(先進運転支援システム)に関わるカメラ・レーダーの取り外しやエーミング(校正)、フロントガラス交換に伴うカメラ調整など──が、国の認証を受けた工場でなければ事業として行えない整備に位置づけられたのです。

背景はシンプルで、ADASのセンサーは目に見えない精度のずれが安全機能の誤作動・不作動に直結するため、専用設備と知識を持つ工場に作業を限定する必要があったからです。具体的には、次のような作業が電子制御装置整備に該当します。

  • 衝突被害軽減ブレーキや車線維持支援に使うフロントカメラ・ミリ波レーダーの脱着・調整
  • センサー校正作業(エーミング)
  • カメラが装着されたフロントガラスの交換
  • 自動運行装置(レベル3以降の装置)の整備

つまり、ADAS搭載車は「どの工場でも整備できる車」ではなくなったということです。これが中古車選びに直結します。

認証取得率は59.8%──約4割の工場はADASに触れない

では、実際にどれだけの整備工場が電子制御装置整備の認証を取得しているのでしょうか。日刊自動車新聞等の業界報道によると、2024年2月末時点の電子制御装置整備の認証取得率は59.8%(経過措置対象事業場ベース)とされています。裏を返せば、約4割の整備工場はADASの電子制御装置整備を事業として行えないのが現状です。

工場の区分できることADAS搭載車にとっての意味
電子制御装置整備の認証ありエーミングを含むADAS整備+一般整備ガラス交換・修理・車検まで一貫対応できる
従来の分解整備認証のみエンジン・ブレーキ等の一般整備ADASセンサーに関わる作業は外注または対応不可
認証なし(部品交換店等)認証不要の軽作業ADAS整備の窓口にはならない

認証の有無は各工場に掲示される認証標識(プレート)や、運輸局の認証事業場情報で確認できます。なお、未認証工場がすべて悪いわけではなく、認証工場へ外注して対応するケースもありますが、その場合は納期と費用が外注分だけ積み上がることは理解しておくべきです。

中古車選びへの影響──「どこで買うか」が「どこで直せるか」を決める

新車であればディーラーの整備網が使えますが、中古車、特に販売店独自保証や現状販売の車両では、購入後の整備をどこが担うのかが品質維持の生命線になります。ADAS搭載中古車では、この問いが次のように具体化します。

  1. 販売店自身が電子制御装置整備の認証を持っているか──持っていれば、納車整備でのエーミングや購入後のガラス交換・修理まで自社完結できる
  2. 認証がない場合、提携する認証工場があるか──外注体制が明確なら次善。曖昧なら、購入後のADAS整備が宙に浮くリスクがある
  3. 納車整備の内容にADAS点検・エーミングが含まれるか──「納車整備込み」の中身を必ず書面で確認する

エーミングが必要になる場面(ガラス交換・足回り・事故修理後)と費用相場はエーミングとは|中古車購入前に知るべき再調整で詳しく解説していますが、工賃1〜5万円が目安となる作業を「どこで・いくらで」できるかは、販売店の整備体制によって大きく変わります。

2024年10月からはOBD検査(電子的な車検項目)も始まっており、ADASの不具合を放置すれば車検に通らない場面も出てきます。整備体制の確認は、もはや値引き交渉と同じくらい重要な購入前アクションです。

購入前に販売店へ確認すべき5つの質問

ADAS搭載中古車を検討する際、販売店に次の5つを確認しましょう。回答の明確さ自体が、その店のADAS対応力を映す鏡になります。

  1. 「電子制御装置整備の認証は取得していますか?」──自社認証か、外注か、対応不可かで整備体制の土台がわかります
  2. 「この車の納車整備にエーミングまたはADAS点検は含まれますか?」──含まれる場合は記録の発行を依頼する
  3. 「フロントガラス交換歴・修理歴と、その際のエーミング記録はありますか?」──履歴と校正記録の対応関係を確認する
  4. 「購入後にガラス交換や事故修理が必要になった場合、どこで対応しますか?」──自社・提携工場・紹介のみ、のどれかを確認する
  5. 「保証はADAS関連(カメラ・レーダー・制御ユニット)をカバーしますか?」──保証範囲からADASが除外されている保証は珍しくありません

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「この販売店の整備体制で買って大丈夫?」「認証の有無をどう確かめればいい?」──検討中の車両や販売店について、確認すべきポイントを無料でアドバイスしています。お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。

よくある質問

A
2020年4月の道路運送車両法改正で導入された制度で、ADASのカメラ・レーダーの脱着やエーミング(校正)、カメラ付きフロントガラスの交換などを事業として行うために必要な国の認証です。従来の分解整備(エンジン・ブレーキ等)に電子制御装置整備が加わり、あわせて「特定整備」と呼ばれます。
A
業界報道によると、2024年2月末時点の電子制御装置整備の認証取得率は59.8%とされています。つまり約4割の整備工場はADASの電子制御装置整備を自社では行えず、外注対応または対応不可となります。認証の有無は工場に掲示される認証標識などで確認できます。
A
エーミングなど電子制御装置整備に該当する作業は、認証工場へ外注されるか、引き受けてもらえない場合があります。外注の場合は納期と費用がその分増えがちです。オイル交換など認証が不要な一般作業は通常どおり依頼できます。
A
店頭や工場に掲示される認証標識(プレート)の確認が基本です。あわせて「電子制御装置整備の認証はありますか」「納車整備にADAS点検やエーミングは含まれますか」と直接質問し、回答を書面やメールで残しておくと、購入後のトラブル防止になります。

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