ロボットの安全認証ガイド|ISO 10218・ISO 13482・ISO/TS 15066
ロボットの安全性を客観的に示す枠組みが国際安全規格です。
産業用はISO 10218、生活支援・サービスロボットはISO 13482、協働ロボットはISO/TS 15066が代表的です。
本ガイドは各規格の守備範囲と、認証がないと導入・保険で何に困るかを整理します。
なぜ安全認証が必要なのか
ロボットの安全性は、メーカーの主張だけでなく国際的に合意された規格に照らして評価されます。安全規格への適合や第三者認証は、次のような場面で効いてきます。
- 導入先の要求 — 大手製造業・施設運営者が、納入条件として規格適合や認証を求めるケースがある
- 保険 — 安全装置や規格適合の有無が、ロボット保険の引受・保険料・割引の判断材料になることがある
- 事故時の説明責任 — 規格に沿った設計・運用は、事故が起きた際の妥当性の裏付けになる
つまり安全認証は「安全そのもの」に加えて、導入と保険のハードルを下げる共通言語でもあります。
3つの代表規格(守備範囲の違い)
用途によって適用される規格が異なります。自社ロボットがどれに当たるかを最初に見極めることが重要です。
| 規格 | 対象 | 考え方の核 |
|---|---|---|
| ISO 10218 (-1 / -2) |
産業用ロボット (-1=ロボット本体、-2=システム/セル統合) |
高速・高負荷の機械を、原則として人の作業空間から分離(柵・安全防護)して運用する |
| ISO 13482 | パーソナルケアロボット (生活支援・サービスロボット) |
訓練を受けていない一般の人と近接して使う前提。利用者中心の設計と、高齢者など配慮が必要な人への対応 |
| ISO/TS 15066 | 協働ロボット (人と同じ空間で作業) |
人とロボットの接触を前提に、身体部位ごとの力・圧力の上限を定める技術仕様。ISO 10218の「例外運用」を支える |
出典:ISO公式(ISO 10218-1ほか)、IFR(国際ロボット連盟)標準化解説。
ISO 10218は2025年に改訂されました(ISO 10218-1:2025)。あわせて、これまで技術仕様(TS)だった協働ロボットのISO/TS 15066の内容は、ISO 10218-2:2025に統合される方向で整理されています。協働ロボットの導入を検討する際は、最新版の規格番号・年版を確認してください。
認証がないと、導入・保険で何に困るか
認証は法的に一律義務付けられているわけではありませんが、無い場合に実務で生じやすい困りごとがあります。
| 場面 | 認証・規格適合がないと起きやすいこと |
|---|---|
| 導入先への提案 | 調達基準を満たせず候補から外れる/追加の安全評価を求められ商談が長期化 |
| 保険の付保 | 引受審査で安全性の裏付けを示しにくく、保険料・条件が不利になることがある |
| 協働運転の可否 | 力・速度制限の根拠(ISO/TS 15066等)を示せず、柵なし運用の妥当性を説明しづらい |
| 事故対応 | 「適切な安全方策を講じていた」ことの客観的な裏付けが弱くなる |
裏を返せば、規格適合と認証・点検記録を整えることは、導入と保険を通したコストとリスクを下げる投資になります。点検記録と認証は、ロボット保険の検討とセットで進めるのが効率的です。
安全認証・適合に向けた進め方
- 自社ロボットの用途を確認し、当てはまる規格(ISO 10218/13482/TS 15066)を特定する
- リスクアセスメントを実施し、規格が求める安全方策との差分を洗い出す
- 必要な保護方策(非常停止、力・速度制限、防護柵 等)を設計・実装する
- 認証機関(JQA等)に相談し、評価・試験・認証の範囲と費用を確認する
- 取得後も定期点検・整備記録を継続し、認証の前提を維持する
認証取得そのものは認証機関の業務ですが、Smartmartは導入機種に合わせた安全方策・点検計画の整理、点検・整備・修理の実務面をサポートします。点検・認証のご相談を承ります。